三月某日 2004年

3月某日
『カメレオン・リップ』の公演がフタを開けて、やれ一息とつくひまもなく、 「少女歌劇団」の作曲に突入。
NHK BS-ハイビジョンのドキュメンタリー・シリーズ「いま裸にしたい男たち」の企画で松尾スズキ氏が選ばれ、初監督の映画・舞台の演出・少女歌劇団の公募から公演までという三本柱の構成による番組が作られることになった。そのうちの『松尾スズキ少女歌劇団』という妖しくもうさんくさい部門の楽曲担当である。
全国から500名近くの応募があり、その中から50人が選ばれ、オーディションで20人に絞られて、少女歌劇団が結成された。
そのオーディションもなかなか大変なもので、「今まで悪いことをしたことがないので、悪いことをしてみたい」と、いきなりナマのお米を頭からかぶるという勇猛果敢というか、奇妙奇天烈、開いた口がふさがらねぇ状態にさせるお嬢さんもおれば、田舎から母に七万円を借りて(別にオーディションそのものにお金がかかるわけではないのだが…)、何故か「家出同然で、もう帰るところはないのだ」と泣き崩れる「女優志望」の方とか、それはそれはいろいろな方がいらっしゃって…沢山の人々の熱意(時に間違った方向の)を浴びると、こんなにグッタリしてしまうものだとは…。
そんな長いオーディションの1日のラストは、合否発表。これはツライので立ち合わず、選ばれた20人が集められ、そこで今回の「松尾スズキ少女歌劇団」の演目「松尾スズキ物語」(!おいおい)の台本が渡され、主演の松尾スズキ役として歌手のソニンが紹介された。
…てなワケで、ちょっと前に聞かされてはいたが、メインにビシッと歌える人が確定したので、大安堵。だって「少女歌劇団」の曲って云われても、どーなのよ。
と的無き闇夜に弓を射るような茫漠たる不安を抱えていた私としては、大いなる救い、神々しきミューズの到来に他ならないのだ。

 

3月某日  
稽古場で、オープニング曲『ラララ松尾』(仮題)と『カメムシの歌』を少女達に歌ってもらう。じーん…しばし感動で立ち尽くす。かって『米の歌』を芝居で30人の女性合唱隊に歌ってもらった時も感涙にむせいだものだが、なんせ今回は音を渡して1日で必死に覚えてきた真摯なその姿勢に感動。そう、歌5曲とダンスの康本雅子先生(そう、メトロやメトローマンスでよく踊ってくれてるマコしゃんだ)の振り付けと芝居を、この10日間で稽古し、本番に臨まなくてはならないという焦りと苦難の日々なのじゃ。
「少女たちよ、血を吐き、マメをつぶしながら闘うのじゃ!」と、ウルクハイに檄を飛ばすサルマンな面持ちで、いささかサディスティックに…などとたわ言をぬかしてるバヤイぢゃなく、そう、オレにはまだ5曲目オーラスの『ほめられたこと』が残っているのじゃないか。(おお、マコ様ゴメーン。振り付けを考える時間が無いぢゃないのさ!)
しかし少女歌劇団といっても10代の子は一人しかいない。のっけから看板に偽りあり。しかも衣装の採寸したら、WHBのBの部分をほぼ全員が履歴書には、2~3cm多めに書いてあることが判明!どうなってるんじゃい、責任者出てこーい!

 

3月某日 
娘たちが稽古場で10日間、その美しき汗を散らして苦闘している間、
私も平均睡眠2~3時間で目を血走らせてスタジオで曲と格闘し続けた。
そして今日と明日、この原宿クエスト・ホールで最初で最後の30分×4回公演が行われる。    
暗転からオープニングのイントロがかかって、さぁずら~り二十人の歌劇団の登場だ。皆、声高らかに歌え、咆えろ!そして踊りまくれ!


「こんにちは  ここはどこですか
こんにちは  あなた誰ですか      わたしは松尾スズキです
わたしはあなたを知りません
けど知らないあなたを愛してる
あなたがここで目を開ける
だから私はここにいる
あなたがここで目を閉じる
そしたらわたしはいなくなる それだけの男 
だから 松尾スズキ だから 松尾スズキ
とてもどうでもいい名前   それだけの男の物語が
今始まる目を開けて 耳を立てて
耳をアンテナにして    耳を佐藤藍子にして
ラララ… 松尾  ラララ… スズキ
ラララ 松尾  ララララ スズキ」

     どうだい、ぎゃふんな歌詞だろ?
この模様は9月16日(木)20:00-21:50 NHK BS―hi「松尾スズキ・41歳~『松尾スズキ物語』~」で、その全貌が明かされることとなろう…ッて、BSハイビジョンなんて、周りに誰も入ってる奴おらんから見れないじゃん。ダメじゃん。

ソニンちゃんがかぶっているのは私の帽子。貧乏時代の松尾スズキは、「こんな帽子だ」という本人のチョイス。ま、アイルランドの漁師の帽子なんだけどさ。どういうこっちゃい。

爆ソニンとラララ松尾ちゃん
爆ソニンとラララ松尾ちゃん
どすこぉーい
どすこぉーい
「東京ハンズの道の前 果てしない未来から カメムシの臭いがした」  
「東京ハンズの道の前 果てしない未来から カメムシの臭いがした」  
制服マニアのためのサービス・ショット
制服マニアのためのサービス・ショット

「メトロのレコーディングもライヴもせずに、こーんなことしてて!」
と怒られる前に、自分で云っちゃうあるよ ほんとに素晴らしい歌姫Son Sonim

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